2013年01月31日

堂々たる裏

個人邸の庭づくりをお手伝いさせていただく仕事柄、どうしても建物と関わることに
なります。建物と庭は隣り合わせにあるのだし、中と外の繋がりや生活動線の
繋がりもあります。

庭に関するのと同じくらい建物に関する興味も尽きず、書物も読みあさっています。
難しくないやつね。

「建築」「都市住宅」「GA HOUSE」などの雑誌を編集をされていた植田実氏 著
「住まいの手帖」の中の一文

 豪邸なら、塀や生垣よりガレージが威風あたりを払っているのがいまのふつうで
あるが、表というよりは堂々たる裏である。かつてのお屋敷は敷地の奥や
控えめな場所にガレージを隠し、あくまでも表門そのものを大きく見せていた。
だから、その家の象徴となっていた。いまではそんな余裕はなくなったし、
一般の家は道とのあいだぎりぎりにクルマを剥き出しに置くのがあたりまえに
なっている。
 裏が連なる景観になった。住宅地がごく自然に統一された美しさを生みだしていた
のは、だれもクルマを持っていなかった時代までである。
 

著者はこうなったら裏返しに徹底して計画したら面白いかもと続けておられたの
ですが、これはもう開き直りのヤケクソのように聞こえます。
というのも、最後に、
凝った意匠の玄関扉の隣に便所の小窓。そういう時代になった。・・・と、これまた
皮肉たっぷりで締めくくってあるから。

私が生まれたころはもうクルマがあったし、ない生活は考えられない。
いいクルマを持ってることはステータスだし、人によっては愛玩の対象になってる。
メーカーは、将来のクルマに情報端末としての機能を持たせると言っていました。
安全性や利便性を考えてのことですが、クルマ離れした若者層の取り戻しを狙って
いるのです。

住宅も時代の機能UPに合わせて変わっていく。
情緒的なことはさておき、暮らしの道具箱的なものに。
通路のようなアプローチに面した出入り口ドア、車は剥き出し、南面には洗濯物や
布団が満艦飾の光景。どちらが表とも裏とも呼べない、あるいはどちらとも裏で
しかない様相。そんな住宅が日本中にエンドレスに繋がっている。
だって敷地が狭いんだからしかたないじゃない。うちだってそうだもの。ゆっくり
安全に眠れる場所があるだけで十分幸せじゃないの。

でも、どこか釈然としないです。
家の外観にこだわって建てたはずです。アルミのカーポートや物置で見えなく
なってもいいとは思えなくて。

だからガレージはガレージにあらず、スペースが限られているからこそ、クルマが
ないときも場に機能を持たせ、美をつけたせないかと、私は考えるんです。
門が作れなくても、玄関の風格をあげるには。
ただの通路ではない、ちゃんと家人やお客様を迎えるアプローチにするには。
生活の生々しさを見せない工夫とは。
あの素敵な家のある通りと言っていただける家の装いとは。

堂々たる裏、作ってやろうじゃないですか!


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posted by マブリツ at 09:53 | 滋賀 ☀ | Comment(0) | ガーデンデザイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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